手元に届いたばかりの可愛い子犬。ワクチン接種の為に獣医さんへ連れて行くと、大抵の場合、「最後のワクチン接種が終わるまで、外出は避けてください」と言われます。 子犬のワクチン接種が終わるのは、生後3ヶ月。子犬の成長過程に於いて、この3ヶ月がどれだけ重要な意味を持つのか、これから先、一生の行動にどれだけの影響を与えるのか、すこしお話させてください。 先ずは子犬の成長過程をご覧下さい。
犬の7週目から12週目は、犬の成長過程のなかでも、その後の犬の性格形成に最も大きな影響を与える、非常に重要な時期です。
犬は7週目〜12週の間に、様々なもの、事柄に接し、世界を広さを学びます。例えば、外の匂い、草の匂い、他の犬の匂い、スピードを上げて通り過ぎてゆく車や自転車、大きな音がする工事現場、子供たちの笑い声、雨、風、コンクリートの感触、砂利道の感触、ぐらぐらする足元。 そして、この時期に遭遇したものは、その後同じものに遭遇しても、この時期ほどの意味を持ちません。そして、この時期に学んだ事は犬のその個体の全ての行動の基盤となります。 この時期には、出来るだけ沢山の物を見せ、出来るだけ沢山の場所へ連れて行って欲しいと思います。 様々なものをこの時期に経験することで、自信に満ち、精神的に安定した立派な犬に育つのです。
この時期に外出を避け、家の中で起きる物事のみしか経験しないのは、「外に行くのが怖い」「ビクビクしている」「知らない人や犬に吠える」「見たこと無いものは怖い」など、自信の欠落に繋がります。犬にとっても、怖いものであふれた世界で一生を過ごさなければならないのは、可哀想です。
12週の子犬は、人間の5歳に相当すると考えられています。人間の子供を、5歳まで屋内に閉じ込め、外の世界を見せず、家族とのみ過ごしたら、どんな風に育つでしょうか?
決して、獣医さんの指示が間違っていると言っている訳ではありません。ワクチンが終了する前に外で連れ出すことで、病気になるリスクは増えるでしょう。 しかし、私は、犬の一生の幸せを考えたら、社会化のほうが遥かに重要だと思います。
予防注射が必要な病気のうち、致死率の高いのはジステンバーとパルボ。 ジステンバーは空気感染する病気ですので、家の外を通った犬が感染していると、窓や玄関からウィルスが進入し、感染することも無いとは言えません。 パルボウィルスは空気感染しませんが、塵やホコリに混じって、長期生存しますので、家の中に進入することも十分に考えられます。
どうしても病気感染が心配な場合、抱いて外を見せてあげたり、コンクリートの上のみ歩かせるなど(草、土にはパルボウイルスが長期生存可能です)の中間策を取るなどの方法で少しでも社会化を進めていれば、外出禁止よりは良いでしょう。
犬の命を守ること、それは飼い主としての責任です。しかし、飼い主として果たさなければいけない責任はそれだけでしょうか? 犬の一生は人間次第。犬に幸せな一生を与える努力をするのも飼い主の責任ではないでしょうか?
全ての飼い主さんに、子犬の社会化を強制しようと思っているわけではありません。自分の犬をどのような犬に育てるかは、飼い主さんの自由です。しかし、獣医さんの意見とトレーナー双方の意見を知った上で育て方を決めて欲しいと思います。